U. ムムイェ
                            
   1.昔ながらの生活      
                                             
 
                        
                                  
      E: h. 152cm 
  F: h. 116cm      

 ムムイェ族は、ナイジェリアの東部の奥地、カメルーンとの国境に近い地域に住んでいる種族で
す。ナイジェリアの沿岸部から中部にかけての人口の多い地域から遠く離れ、他方、カメルーンを
はじめ周辺の国々からも野山を越え、道なき道を踏んで行かないとたどり着けない地理的な条件下
に置かれていたために、他の部族との交流や影響にも限度があり、永い歴史を通じて古くからの
生活習慣や文化を保ったまま生活してきたようです。
  西欧人としては、ナイジェリアの奥地まで足を踏み入れたポルトガル人の探検隊が、初めてム
ムイェ族と出会ったのが1890年代とされています。その後イギリス人などの探検隊をはじめとする
西洋人との接触が増えてきましたが、もともとは外 界との接触が少なかったため、ムムイェの人た
ちは最近に至るまで、数千年来あまり変わらない昔ながらの生活 を営んでいるそうです。それで
も、交通路が少しずつ開けて、他の地域との往来が増えるにつれ、より快適な生活を求めて、あま
り肥沃とはいえないムムイェ族の土地を去り離散する人々の数が増加し、西欧人が初めて出会っ
たころは20万人とも40万人とも推定されたムムイェ族の人口も、現在では10万人以下に減少し
ていると見られています。
 また、近隣のイスラム教勢力が浸透してくるのに伴い、偶像崇拝を否定するイスラム教の教義に
従ってムムイェの木像の破壊を強いる圧力が高まりはじめ、この破壊から木像を守るために少なか
らぬ人々が木像を持って脱出したと伝えられます。このようにしてムムイェ族の居住地域に近接し
たカメルーンに持ち込まれたかなりの数の木像がやがてカメルーン商人の手に渡り、ヤウンデ、ドゥ
アラ、フンバンなどのカメ ルーン諸都市の市場に出回っているようです。
                                                                                                                                                                                                                         
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