短編小説<恐怖のストーカー>
今日こそは彼女の家に忍び込んでいい思いをするのだ。彼は電柱の陰で夜の更けるのを静かに待った。
来た。彼女だ。
彼は足を忍ばせ彼女の後をつける。
途中、幾度か人とすれ違うが爛々と目を光らせる私を、誰も不審に思わない。
彼女がマンションに着き、階段を登る。
私も彼女の後から素早く階段を駆け上る。まだ気づかれていない。
彼女がドアを開けて部屋の中に入り、ドアを閉めようとした瞬間に、
私はするりと部屋の中に忍び込んだ。
彼女が電気を点ける。
ふふ。私は彼女を見上げてこう言った。
「ミャア。」
彼女「まあ、山田さんところのクロちゃん。仕方ないわね。
待ってね、今ミルクあげるから。」
こうしてお腹を空かせた野良猫の私はようやくミルクにありつけて、
望み通りいい思いをして帰路についたのだった。
おしまい
《あとがき》
このお話は、今日の買い物の帰りに”不審な人に注意”という看板を見て、
もし”人”でなかったら、と思って思いついたものです。
まあ、不審者はどの道”人でなし”でしょうけど。^^;
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