木彫が祈りの対象とされることが多いのに対して、祭りなどの儀式に使用される大切な道具に 仮面(マスク)があります。仮面も木彫りで、人間の顔だけではなくワニや鳥などの動物を形取った ものまであり、付け方も、顔にかぶる普通のお面から、動物などは頭に乗せるものまで多種多様 ですが、もちろん最も一般的なのは顔にかぶるものです。 |
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祭りでは、生前に尊敬されていた人 物(部族の王や長老など)と死後も交流 したいとの願いを込めてか(日本のお 盆のような感じでしょうか)、その人物 の顔を彫った仮面をかぶって踊りや演 技をします。M-1とM-3の頭部は冠か 髪型かわかりませんが、M-2の頭に載 っているのは正面を向いたカラスの像 の飾り物です。 |
M−1: h. 49cm | M−2: h. 38cm | M−3: h. 34cm |
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生前に尊敬されていた人物だからでしょうか、立派な顔立ち の仮面が少なくありませんが、半眼で伏し目がちなものが多い のは(M−1、M−2、M−3)死者の顔を表現しているからか もしれません(目を完全に閉じてしまうと、かぶっている人は外 が見えなくなるので、仮面の目は少しは開いていなければなら ないのでしょう)。M−3の髭は乾燥した草で作られています。 これに対してM−4はどう見ても楽しそうな笑顔ですから、生 前の顔をそのままお面にしたのでしょう。頭には宝貝をビーズ 状につないだ飾りを着けています。 |
M−4: h. 33cm |
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M−5は頭の上に載せるタイプですが、こ れはかぶっている人が仮面の目を通して外を 見る必要がないためか、目はほとんど閉じて います。 カメルーン人の商人によれば、M−1、M −2、M−3、M−4 はナイジェリア、ニジェー ル、マリなどの部族の、またM−5はカメルー ンの部族の作品だそうです。 |
M−5(正面と横顔): h. 49cm |
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儀式などのために作成され た伝統的な木彫や仮面には、 一般に作者不明のものが多 いのですが、最近は、儀式用 ではなく芸術作品として作成 されるものが増えています。 M−6、M−7はカメルーン 独特の面長な仮面(男女のペ ア)ですが、作者のサインが 誇らかに記されています。 M−8はミニチュアの土産物 ですが、こちらの方が、色彩 など伝統的な作風を忠実に伝 えているようです。 |
M−6: h. 74cm | M−7: h. 74cm | M−8: h. 35cm |
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M−9とM−10は仮面ではなく、ガーナ の部族が多産を祈るための工芸品です が、赤ん坊の顔のようにも見えて愛らしい ので、一緒にご紹介しておきます。 これらや、実はM−8も南アフリカ共和国 の土産物店で購入したもので、アフリカの 商人は「自国品」かどうかにあまりこだわら ずに、いずれも「アフリカの産品」として各 地で取引しているようです。 |
M - 9: h. 35cm | M - 10: h.36cm |
なお、このページでご紹介しているものは全て、ムムイェの木彫の収集のついでに店で見かけ、 系統的にではなく衝動的に購入したものです。従って、個人的に気に入っているとはいえ、詳細に 解説するだけの知識はありませんので、写真だけご鑑賞下さい。 |
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